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ついてる男 開幕

突然だけど世の中ツイてない奴って居るよな、
何をやっても裏目に出る、俺みたいな奴の事だ、
お前なんか大した事は無いと思う人もいるだろう、
まぁとにかく聞いてみてくれ。

 俺の名前は前橋亮、
十五歳までは早乙女亮だった、苗字が変わった理由は何てことはない、両親が自宅の火事で焼け死んだ、
同じ様な境遇で孤児になり施設などで生活するしか無くなった人も沢山いるだろう、その点俺は恵まれていた、
親父の弟夫婦には子供が出来ず悲しみながらも喜んで俺を育ててくれた。
 
 叔父の働きや親父の保険金などもあり俺は何不自由なく育てられた、叔父夫婦も事故で亡くなるまでは・・・

 叔父夫婦が亡くなった時とうとう俺の味方はいなくなった、当たり前だろう、コイツを育てていた人間が二組死んだら誰でも引き取りたくはない。

 しかしまだ俺はツイていたのかもしれない、
俺には親父の遺産の残りと叔父が俺に残してくれた保険金があった、
この時俺は十八、葬式を出し手元に残った金は二百万くらいだった、
少ないと感じる人もいるだろうが叔父は会社を経営していた為、色々な支払いに消えたと親戚連中は言っていた、
本当かウソかはどうでもよかった、俺は俺の周りの人間を失う事に疲れ果てていたからな。

 叔父夫婦の葬儀や自宅の整理も終わり始め、やっと一人暮らしに慣れた頃不思議な光景が夢に出てくる様になった、その夢は両親、叔父夫婦の首を抱えた男が俺に向かい


 「まだ終わらない」


 繰り返しその言葉を投げかけてくるだけの夢なのだ、恐怖と寝苦しさで目を覚ます日々が続いていた。
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ついてる男

それでも生活のため居酒屋でのバイトに暮れる毎日、
趣味も友達もいない俺は限界に近かっただろう、
そんなある日バイト先に新人が入った、
決して綺麗ではないが愛嬌のあるその子の名は斉藤今日子といった、その日から俺の夢の中の出来事が変わった。

 相変わらず首を抱えた男が俺に語り掛けてくるのだが、
その男の前に首から鍵をぶらさげた小学生くらいの男の子がジッとこちらを見ているのだ、その子に見覚えはない、
だが夢の中の俺は小学生だろうが俺を助けてくれるだろうと思っていた、
しかしその子は薄ら笑いを浮かべるだけで決して動こうとはしない、
結局いつものように目を覚ますといつもと違う事が起きた。

 夢の中の少年が目の前にいるのだ。

 恐怖の余りヒッと声が出た、その直後少年は笑い声を上げた、

 「お前随分な人生を送っているなぁ、その人生俺が終わらしてやるからよ」

 そう言うと少年はまた笑い出した、少し冷静さを取り戻した俺は、

 「お前らはいったい何なんだ、俺は確かにツイてないろくでもない人生を送っているかもしれないが、ただ人生を送っているだけだ、誰かに恨まれる様な事をした事もない」

 気持ちを落ち着かせそういうと、

 「確かにお前は何もしていないかもな、だがお前の一族は違うかもしれないぜ、まぁ覚悟するんだな」

 彼に言われ睨まれた瞬間俺の意識は飛んだ

ついてる男

次の日目覚めると、彼の姿は見えなかった、六畳のワンルームのこの部屋に隠れるような場所は無いが押入れやトイレ、台所の下までビクビクしながら確認する、居ない。

 「あんな幻覚見るなんてそろそろ本格的にお祓いでも行かなきゃダメかな」

 半笑いでつぶやくと、

 「お祓いなんか無駄だからやめとけ」

 居た・・・

 「お前が起きるまで暇だから外を一回りしてきたわ」

 幻覚ではなかった、恐怖で身動き出来ずにいると、

 「ビビッてんのはいいことだがお前そろそろ仕事なんじゃねえのか?」

 硬直した体が一気に解けた、

 「ヤバい、もう四時じゃねえか」

 何故か彼の事など無かった様に俺は支度をして家を出た。
 バイトには無事間に合ったが店も閉店を迎える頃、あの家に帰らなくてはならないという事を理解しはじめた、

 「どうしたんですか?前橋さん」

 後ろから声をかけられ振り返ると斉藤今日子が微笑みかけていた、人付き合いの上手くない俺は

 「ちょっとね」

 それしか言えなかった、全て話したところで頭がおかしいと思われるだけだろう、

 「いやぁ怖い夢で眠れなくなったと思ったら今度は男の子の幽霊が出てさぁ」

 などと誰かに言われたら良い病院探したほうがいいくらいしか俺にだって言えないだろう、

 「そうですかぁ、何か凄く辛そうな顔してたから」

 本気で心配してくれているようだ、ありがとう、俺はそれだけしか返せなかった。

 バイトも終わり重い足取りで家につき気合いを入れ玄関を開ける、頼むから居ないでくれ。


 居た・・・


 しかも普通にテレビ見ていやがる・・・

 「おう、おかえり」


 おかえりじゃねえ・・・


 不思議と恐怖はなくドアを閉めるなり俺は奴に向かっていき胸倉を掴む・・・


 掴めねえ・・・


 「お前そりゃ無理だよ、俺幽霊だぜ」

 確かにな、だが俺は気づいた

 「じゃあなんでお前はリモコンとか触れんだよ」

 「そりゃあれだよ、気合い?」

 聞かれても知らねえよ・・・

 「とにかくお前なんなんだよ、俺に何がしたいんだよ」

 怒りにまかせて言うと

 「昨日言ったろ?お前の人生を終わらせ
るってよ」

 その時恐怖が戻ってきた、まるで血の通っていない肌、生気を感じられない瞳、目の前にある物がこの世の物ではないことを再び実感させられた。

 「まぁ座れよ、俺の名前は壮太」

 言われるままに座る、

 「聞きたい事とかあるだろうけど、何にしても諦めることだな」

 相変わらず恐怖で体は動かないが頭は落ち着いてきた

 「じゃあ壮太さ、ん、は」

 「壮太でいいよ、生きてりゃ年も変わらないくらいだし」

 「じ、じゃあ壮太は俺の一族に恨みとかがあって俺の所に来たのか?」

 壮太は少し間をあけ

 「そんなようなもんだ」

 そう答えた、

 「覚悟するんだな、お前明日もバイトだろ?早く寝ろ」


 寝れるわけがない・・・


 「じ、じゃあお先に失礼します」

 「おう、テレビうるさかったらごめんな」

 命狙われてる奴に謝られてもな、

 「だ、大丈夫です」

 この日から奇妙な生活が始まった。

ついてる男

何故かこの日からピタリとあの夢を見なくなった、
その代わり外へ出るたび誰かに見られている様な感覚が続いた、
そして壮太との生活が二週間ほど続いたある日、
俺はいつもの様にバイトへ向かいいつも渡る信号が青になり道路へ一歩踏み出した時目の前に壮太が現れた、

 「来い」

 そう言われ手を引っ張られた瞬間物凄い衝撃で意識が無くなった。


 結果として俺は信号無視した車にはねられ右足を折り二日ほど意識が戻らなかったらしい、
俺が目を覚ますと壮太はベッドの周りを漂いながら

 「もう少しで終わらせられたのになぁ」

 嬉しそうに笑っていた、俺はただただ壮太の恐怖に震えていた、この時俺が意味をわかっていれば変わる事もあったと今は思う。

 ひと月ほど入院していたが見舞いに訪れたのはバイト先の店長が一度、他のバイト連中も一度だったが何故か斉藤今日子だけは毎日顔を出した、彼女いわく

 「私が来なかったらきっと誰も来ないですしねぇ」

 そんな彼女に惹かれ退院してすぐ告白すると、
やっと告白してくれた、
どんだけ鈍感なのかとイライラしましたよ、
との答えを頂き付き合いが始まった、
退院しても相変わらず壮太は消えることはなく、視線を感じることも変わらなかった。

 俺と今日子との交際は順調に進んでいた、
そして壮太との生活も変わらず、
ひと月に一度くらいのペースで事故に巻き込まれた、
幸か不幸か大事に至るほどではないが事故のたびに壮太への恐怖が募っていった、
何よりも今日子に被害が及ぶことだけはさけなければと・・・

俺の二十歳の誕生日を過ぎ、今日子との交際、壮太との生活が一年をこえた頃俺に転機が訪れた、知り合いの運送会社が正社員として俺を雇いたいとの打診を受けたのだ。

 今日子とも話し合いお互いそろそろ結婚なども考えていた折、
その話を受けることにしたのだが俺には気がかりがあった、
結婚をして一緒に暮らすとなれば壮太のことである、
壮太に話したところで命を狙う奴が離れる事は無いだろう、

だが今日子との生活のためには奴を何とかするしかない

 とにかくまずは話してみよう、バイトを終え家につくと相変わらず壮太はテレビを見ている

 「おう、おかえり」

 「ああ、ただいま」

 もう慣れたものである

 「なあ壮太、話があるんだ」

 「なんだよ改まって」

 俺はテレビを消すと奴を見据えた

 「壮太が俺を殺したいのは仕方ない、でも俺はいま死ぬ訳にはいかないんだ、これから先一生かけて守りたい人がいる、正社員の仕事も決まって彼女と結婚しようと思う」

 壮太は俺の目をジッと見ていた、そして口を開いた


 「そうか、わかった、じゃあ俺は消えるよ」


 拍子抜けするほどあっさりしたものだった、思わず俺は

 「お前これで成仏するのか?」

 余計な事を聞いてしまった

 「まだまだ成仏なんかしねえよ」

 そういうと

 「世話になったな、まぁ頑張れや」

 その言葉を残して消えていった。
 余りに突然でしばらく放心していたが、解放されたという感情が沸き上がり一人喜んでいた。

ついてる男

壮太から解放され無事入社、
今日子との新しい住居に引っ越しを済ませた頃、
ふと、壮太から解放されてから外での視線を感じなくなったことを感じた

、やはりあれも壮太のせいだったのか、
もちろん未だ今日子に壮太の話はしていない、これからもすることはないだろう。

 そして壮太のことも忘れはじめ春の訪れと共に俺と今日子にも変化が起こった、
今日子のお腹に新しい命を授かったのだ、
彼女も俺も大喜びしたが気がかりもあった、
同棲する際彼女の両親に会ってはいるのだがまだ結婚させてくださいとも伝えてはいない、
しかし今更合わずに済ますわけには行かないと、仕事の休みに合わせてすぐに彼女の実家へと車を走らせた。

 俺達の住む町から一時間、山間の小さな町に両親は住んでいる、車を停め彼女の実家へと上がる、
農業を営む両親は物腰柔らかく、
とても俺を気に入ってくれている、両親を前にし、ありきたりながらも娘さんを僕に下さい、
そういうと親父さんは幸せにしてやってくれと嬉しそうに言ってくれた、

そして予想外のことはこの後おきた、

 「今日子、お兄ちゃんにも報告してきなさい」

 お袋さんが言うと彼女はわかってる、
もちろんするよ、
答え部屋を出た、一人残され彼女に兄がいることを聞いていなかった俺は

 「お兄さんいらっしゃるんですか?今日子さんには言われなかったものでご挨拶出来ずにすみません」

 そう言うとお袋さんは少し悲しそうに

 「あの子ったら話してないのね、もう昔の話なんですがね、今日子には兄がいたんです」

 いた?

 「あの子がまだ幼稚園の頃、今日子の事を本当に可愛がっていてね、いつも俺が今日子を守るって今日子も大好きで本当に仲の良い兄妹でした」

 でした?

 「亮君こっち来て」

 今日子に呼ばれ声のする方へ行くとそこには仏壇があり手招きされた俺は今日子の隣に座ると目を疑った


 「私のお兄ちゃん、壮太って言うんだ」


 そこには満面の笑みを浮かべる壮太がいた、首から下がる鍵も服装も全てがあの壮太なのだ、

 「本当に大好きなお兄ちゃんだったんだ、病気で九歳で亡くなったんだけどね」

 俺はその時まだ恐怖しか感じる事が出来なかった、
彼は今日子を守るため俺を殺そうとしていた、
もしかしたらまだ命を狙っているのかもしれない、
まだ終わっていないんだ、
そう思った俺は挨拶も早々に実家を後にした。
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